私はエホバの証人2世です。
私は排斥されたので、現役の母親、弟とは絶縁状態です。
2月9日放送のハートネットTV「“神様の子”と呼ばれて~宗教2世 迷いながら生きる~」を観ました。
2/16(火)には再放送もありましたね。
感想を混ぜ込みながら自分のことも書いておこうと思います。
母親という存在
母を喜ばせるため
最初から最後まで心揺さぶられるお話で胸が締め付けられる思いでしたが、特にゴンさん(仮名)の話しているところでかなり号泣してしまいました。
私の子どもの頃と同じような体験をしておられて共感しました。
お兄さんを自死で亡くされたり、お母様を輸血問題の末に亡くされたりと、宗教が生死にまで関わる体験をされてきたことはとても辛く苦しい気持ちを思い出すものでした。
ゴンさんはお母様を亡くされて「もう母を喜ばせようとしなくていいんだ」とホッとした自分がいると話されていました。
それは母親を嫌いなわけではなく、「本当に母親を愛しているからこそ分かり合えない悔しさ」という思いからの解放だと思います。
そして私自身も「自分の子どもの頃の生き方全てが母親を喜ばせるためだけだった」事に気付きました。
私の経験
私の母親はとても優しいタイプでした。
母は、エホバの証人で問題の「子どもへのムチ」はほとんどしませんでしたし、「子どもに怒る」ということは全くありませんでした。
その代わり、「無言の圧力」がありました。
一つ例にあげると、宗教以外の子ども達と遊んではいけないと言われていたので、お友達からの誘いは全て断っていました。
でも、どうしても一度遊びに行ってみたかったので、小学校一年生の時エホバの証人の子ども向けの絵本を持って「証言してくる(宗教の話をしてくる)」という理由付けをして遊びに行きました。
その時本当に、エホバの証人の「聖書物語の本」という子ども向けの絵本をそのお友達の家に持って行き渡しました。
お友達の家ではピアノを聴かせてもらったり、カワイイお人形で遊ばせてもらったり、友達のお母さんが作ったクッキーを食べさせてもらいました。
本当に楽しい時間でしたが、自宅に帰ると母親は見るからに機嫌が悪い様子でした。
話しかけても「うん」と相づちをうつくらいで話そうとしてくれません。
しばらくして、「宗教以外の子どもと遊ぶ危険さ」について再度話しがありました。

そこで「強制ではない」という言い方をするのですが、子どもの私にとっては「完全な強制」となってしまうんですよね。
結局、私は小学生の頃お友達と遊んだ経験はその1回と小学校6年生で私が引っ越すことになり、お友達が「さよなら会」をしてくれた時だけです。
小学生で学校のお友達と遊んだ経験が2回だけって、今思えばすごいことですね。
子どもがやりたいこと
親のエゴ?
ゆうじさん(仮名)が話しておられたことも共感しました。
自分が親になって子どもを育てるにあたり、「子どもが本当にしたいと思っていることなのか、それとも親が望んでさせていることなのか線引きが難しい」ということ。
子どもが「親に喜んでもらいたい」という感情は当たり前に生じる気持ちですので、子どもが親の望みを察知しその方向に進もうとする状況は宗教関係無く発生することです。
本当に子どもがやりたい事を見つけられる環境にすることやその思いを親が遮断してしまわないよう常に意識していたいと思いました。

私の経験
自分が子どもの頃のことを考えると、まず「大学」という選択肢はありませんでした。
また、フルタイムで働くことも選択肢には無く、バイトをしながら宗教活動を熱心に行う道を選びました。
その生き方は「自分がやりたかったこと」ではありませんでしたが、「自分が望んでいること」ではありました。
「自分の望み」=「親が安心してくれる、喜んでくれる事」だからです。
私自身が「本当に自分がやりたい事」を考える術を身につけておらず、エホバの証人の規則に従い親の望む道を歩むこと意外は考えられない状況になっていました。

1世の気持ち
1世の方のお話も興味深かったです。
旦那さんとの関係や金銭面でも悩み、本当に辛い状況で出会った宗教に心を魅了されてしまったのは必然的であったとも言えます。
「家族が幸せになるために入った宗教」で家族がバラバラになってしまった事実を子どもさんに気付かせてもらい、宗教をやめることができたと言われていました。
実際に私の母親も父への不満や誰の助けも無く子育てをする状況で、頼れる存在が宗教となってしまった事実は同じでした。
私の母親はまだ現役ですが、今後「幸せになるための宗教で不幸せになっている状況」に気付いてもらうチャンスはまだまだあると思い少し希望がわきました。
ハートネットTVさんに感謝
今回「宗教2世」を取り上げていただいた事がとても嬉しいです。
子ども頃、校歌や国歌を歌えなかったこと、クリスマス会や節分では別室で待機していたこと、学校のお友達と遊ぶことが出来なかったこと、その全ては「虐待に近い」という内容だったことが衝撃的でした。
子どもの頃そのような体験をした私は「虐待を受けていた」という感覚は全くありませんでした。
実際今も私が排斥者であるがゆえに母親とは絶縁状態なのですが、私は母のことを大好きですし「虐待をした母親」という見方をすることは全くできません。
そのように親子の関係が絡んでいるからこそ本当に難しく深刻な問題なのかなと思います。
子どもが親の宗教に影響されないような制度を作るというのは、家族の中の問題ゆえに難しいのかもしれませんが、この事を問題視してくださる方が増えて問題を知って下さる方が増えることで、新たな2世被害者減っていくことを願っています。
また2世の立場で悩んでいる方や過去の辛い経験から抜け出せない人も「解決策は絶対にある」という事実を知ってほしいと思います。
ハートネットTVの皆様ありがとうございました。
